●In Memoriam - momento musicale -
Vita Mandolinistica という雑誌を担当していた Francesco Tentarelli の急逝を惜しんで1904年に Bottacchiari が献じた曲です。4分弱で構成もマンドリン二部、マンドラ、ギターによる四部からなる小品ですが、随所にBottacchiariらしさを聴き取ることができます。松本譲氏の出版譜ではセロ、ローネ、ベースが補われているので、それに基づきました。演奏会規模ではないのであまり演奏されないと思います。
演奏的には QLSO Gold のみを用いています。原曲は旋律はMn1-1なのですが、今回はソロ・ヴァイオリンに割り当ててみました。QLSO Goldにはソロ・ヴァイオリンはあるのですが、奏法が基本的に足りません。Pizzやtrillがない。。。まあ今回はあんまりトリルをやっても白々しそうなので、あっさりと削りました。トリルってあんまり好きじゃないので。演奏はもう少し遅くても良いのかもしれません。ppからpの多い曲なので、コンプを入れて聴感上音量を持ち上げています。
若い頃は訃報に接しても知らない人や有名人でも遠い感じでしたが、40を越えると身近な感覚の人の訃報が多くなります。今年もいかりや長介氏などよく影響を受けた方の訃報を目にしました。悲しむというよりも死というものはあるべくしてあるもので、所詮生きていること自体大きな宇宙的視点から見て意味があるかどうかなのですから。後悔しないように迷惑をかけないように生きるだけ生きて死ねばよい、という気ではいます。実際に目の前に死というものが見えてもそのような心境でいられるかが問題ですが。
momento musicale は「楽興の時」と訳され、シューベルトやラフマニノフにもあるように、曲名としてはある種定番ですが、喜びというよりは、文字通り「純粋に音楽的な瞬間」と捕らえたほうが良いと思います。あるいは「音楽のかけら」とでも。というわけで、次作も他作曲家の momento musicale になる予定。