●ポンキエッリはいかが
イタリアの19世紀の音楽といえばオペラばかりが有名です。ロッシーニからドニゼッティ、ヴェルディという大物が多いので仕方ないのですが、管弦楽曲も当然作られています。オペラではなく管弦楽曲中心の作曲家といえばマルトゥッチとスガンバーティははずせないのですが、今回はちょっと横道にそれてポンキエッリの管弦楽曲を紹介しましょう。というのは作るのにあわせているといつになるかわからないので。
Amelicare Ponchielli(1834-1886)はそうはいってもオペラの「ジョコンダ」だけが有名で、しかもその中の「時の踊り」ばかりが演奏されます。また実はプッチーニやマスカーニの音楽の先生でもあって、そちらのほうが意味があったのかもしれません。
彼の管弦楽曲で邦盤で出ているもの(SonyRecords SRCR2227)はムーティ指揮の「哀歌」Elegiaくらいではないでしょうか?このCDはポンキエッリのElegiaのほかにカタラーニやプッチーニの曲が入っていて、プッチーニの稿でも紹介しているので多くは書きませんが、イタリアの旋律美を知るには良いCDです。カタラーニはまた別の機会に書くつもりでいます。
ポンキエッリの管弦楽曲集はBongiovanni からでている Silvano Frontalini のものをまずあげたいと思います。なにせ選曲が珍しい。(Bongiovanni GB2115-2)
Elegia
Sinfonia No.1
Sinfonia No.2
Scena Campestre
Sinfonia dall'opera I Lituani
Sinfonia dall'opera I Promessi Sponsi
Gavotte Poudree
Sinfoniaは交響曲というよりは演奏会用序曲で、このような規模のものが好まれたのでしょうか?でもマルトゥッチやスガンバーティは大規模な交響曲を書いているので、やはりオペラによったもの(オペラの序曲もSinfoniaだったりする)かと思われます。Scena Campestre は訳すと「田園写景」でしょうか?ムーティ盤の解説でもスパダさんが「哀歌」と「田園の風景」(一種のイタリア風田園交響楽)が良いと書かれているのですが、これは私も賛成です。Scena Campestre は4楽章からなる13分ほどの作品ですが、田園交響曲の伝統にのっとった構成(導入-嵐の音楽-祈りの音楽-田園の祭)となっていて、なかなか楽しい音楽です。実はこれをなんとか作ると同時に・・・と思っていたのですが、いつになるか。。。以前はこれをマンドリン合奏に編曲しようとか無謀なことを考えていたのですがそれは失せました。
Sinfonia dall'opera I Promessi Sponsi は歌劇「婚約者」序曲ですが、これは石村氏のアルバム・フィロドリーノ9巻に Poli の編曲が載っています。
3枚目も Silvano Frontalini 指揮のもので、こちらはポンキエッリの「ジョコンダ」以外のオペラから序曲や踊りの音楽、間奏曲、歌ものを集めたものです。(Bongiovanni GB2286-2)
Marion Delorme
I Mori Di Valenza
Il Figliuol Prodigo
I Promessi Sposi
I Lituani
ほとんど知らない曲ばかりです。すみません。しかし、Frontalini という指揮者はイタリアの忘れられた音楽を数多く演奏していておもしろい。
最後は Ponchielli の吹奏楽曲集という珍しいCD(というかどれも超B級ですが)(stradivarius STR33591)。団体の何かの記念なのか、あきれる176ページの解説付です。
Marcia Principe Umberto
Sinfonia
Fantasia per cornetto sulla Traviata
Concerto per tromba
Concerto per cornetto
Adele valzer
1曲目は楽しい行進曲でサボイアのウンベルト王子をたたえての曲、2曲目はSinfoniaですが、上記の管弦楽曲とは異なるみたい。3曲目は有名なヴェルディの「椿姫」テーマを用いた幻想曲。他の曲も含めて、この吹奏楽曲のCDが一番楽しめるかもしれません。
ポンキエッリはヴェルディのライバルとも言われたようですが、やはり比べるのはちょっと辛い。音楽はどれも美しいが、厳しさや個性が弱いのです。性格的にきっと温厚で人が良かったのではないでしょうか?でも上のいくつかの曲はイタリアものの旋律好きなら楽しめますよ。