●百鬼徒然袋-風
風、というか風邪をひきました。3連休の最後は暑いし風邪だし、だらだらと京極夏彦の「百鬼徒然袋-風」を読みました。薔薇十字探偵・榎木津礼二郎の話です。本体のシリーズがいまひとつ拡散気味のせいで、こちらのほうがおもしろく感じています。
だいたい私の感覚では「魍魎の匣」か「鉄鼠の檻」が一番で、それ以降はメンバーをどう使うかにけっこう苦労しているように思います。主役をはれるのは中禅寺か榎木津あたりですが、こちらはでてきた途端解決になってしまうので、長編を支えることにはならず、榎木津が目を故障しなければならないようでは、まことにつらいと感じております。
一方「百鬼徒然袋」のシリーズは中篇であることと、榎木津が事件を壊せばよいという物語なので、中禅寺も思い切り凶悪な顔ができますし、榎さんもにゃんこと叫びながら殴りまくってよし、というキャラクターがそれぞれ生き生きしております。
話自体はそれぞれ読んでもわかりますが、むりやり巻き込まれる本島くんが語る形式になっているし、その他の登場人物も関係はしているので、シリーズを最初から読んでおくほうが良いことは良い。そのほうが各人の個性に従って馬鹿になっていく姿が笑えるので。ここでは中禅寺も馬鹿の活動に苦りきっていますが、そのほうが味があって良いのであった。