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August 08, 2004

●ウィンターズ・テイル(上)

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「冬のソナタ」がはやっていても、ひねくれた私としてはそのまま見る気になんないだろ?ということで、マーク・ヘルプリンの「ウィンターズ・テイル」の上巻を読んだ。いやあこういう洒落の為にも本は積んでおくものである。本来は下巻も読んでから書くべきなんだろうけど、このすばらしさを最近は「忘れる」ので、今メモしておくことにします。

まずは白馬がいる。そして泥棒のピーター・レイクの逃走に走り始めると物語はNYを軸に走り始める。もちろんこれはNYの物語であるが、「それぞれの冬」の物語でもあるのだ。ピーター・レイクとベヴァリーの冬、ハーデスティとヴァージニアの冬、アズベリとクリスティアーナの冬、それぞれの愛は冬の形とともに美しく輝くのです。

また愛する二人ばかりでなく、アイザック・ペンもパーリー・ソームズもゲイムリー夫人その他多くの素敵な登場人物は「冬」の形の中で物語は進みます。この小説での「」は本来そこに住む人々にとっては辛くて厳しいとしても、我々が思う冬の北海道のようになにか美しく心に響きます。それはそれぞれの「人生」であって「過去」であり、辛くて厳しいとしても、何故か思い出の中で美しくあるいは郷愁を呼ぶ「冬」と重なって展開していくでしょう。それぞれの「人生」=「冬」ということで複数形なのかなと勝手読み。

上巻では、ピーター・レイクとベヴァリーの話からハーデスティとヴァージニア、アズベリとクリスティアーナの話までですが、下巻ではピーター・レイクがどのように登場するのか、このNYの話がどのように展開して着地するのか、着地しないのか、とても楽しみです。ただひとつの失敗は、この暑い夏に読むべきではなかったなあ。。。とほほ。

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