« 生首に聞いてみろ | メイン | 遠い女 »

October 11, 2004

●室内楽的編曲版を聴く

CD-Linos-Bruckner.jpgpad10.gifCD-Linos-Mahler.jpg

立派に風邪をひきました。

マンドリン合奏でもクラシックなどからの編曲があるのだが、だいたいは賛成しない。特に有名曲であればあるほどオーケストラ演奏のイメージが強く、がんばって弾いているけど原曲のほうがいいよね、という感想になるのだ。結局奏者のための選曲と聴衆のための選曲があるわけで、両方がうまく重なれば理想的であるが、クラシック編曲によるマンドリン合奏ではとても難しい気がしている。ほどんどがアマチュア団体なんだから、まあ弾きたいものを弾くというのがあるんでしょうけどね。昔ある人と話していたときに、編曲モノが成功するかどうかは選曲段階で8割決まっているということを言われたが、大きく同意である。

私がクラシック曲からマンドリン合奏編曲を選ぶ場合は、「メジャー曲でない」(CDもないくらいが理想)、「構成が小さい(ピアノ二重奏あたりの大きさがベスト)」「対位的な動きがある」「民俗的な要素がある」「リズムがしっかりしている」のが基本である上に、好みが入ることになる。コンコルディアではMagiという作曲家の「前奏曲」を演奏させてもらったが、他に候補としてショスタコーヴィッチの「2台のピアノのためのコンチェルティーノ」とアルチュニアンというアルメニアの作曲家の「アルメニア狂詩曲」だった。この2曲はピアノ2重奏曲であるが、著作権の処理が必要である。今思うと編曲は下手すぎで赤面するのだが、曲自体はいまでも好きだ。他に編曲してみたかったクラシックとしてはブロッホの「コンチェルトグロッソ」、ヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ第9番」などであろうか。このあたりは編成が弦楽合奏中心なので、編曲というほどの作業はないかもしれない。「コンチェルトグロッソ」はピアノオブリガート付きなので、それはギターか(ちとイメージが違うだろうか)?

クラシックの中でも編曲という作業はあって、昔はなかなかオーケストラのような大編成では聴けないので、素敵なあるいは有名旋律をヴァイオリンとピアノなど、よく楽譜がでていたものである。レコードやCDが多く出回ってからは聴くほうのみで、演奏にまで入る人は逆に減っているのかもしれない。その他に、戦争時に大編成のオーケストラを室内楽編曲で、というものがある。ひとつには線的な音楽の構成を新しく出そうという意識もあったのだろうが、ここではシェーンベルクを中心とした新ウィーン楽派による編曲モノを紹介したい。

Linos Ensemble によって新ウィーン楽派による編曲モノが連続的にCDでだされている。マーラーの交響曲第4番ブルックナーの第7番ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」他、で、この中では私が好きなのはマーラーの交響曲第4番を一押ししたい。もともと曲自体がマーラーの曲の中では小型でロマンチックということもあるが、なかなかこのすっきりとした叙情性の室内楽版は、オーケストラの代用品でなく独自の輝きを持っていると思う。それに比べるとブルックナーの第7番はもともと曲がもったりなので難しいな。でもおもしろいのはおもしろい。マーラーの交響曲第4番は昔々のNHKドラマの「四季・ユートピアノ」で使用されたイメージが印象に深く、私にとってこの室内楽版はそのイメージを喚起するのです。マーラーでは「大地のうた」も室内楽版がでています。

打楽器+ピアノによる「カルミナ・ブラーナ」もおもしろい。とてもシャープで楽しい演奏である。合唱を主体に楽しめるのだが、打楽器の入り方はインパクトがあってよい。こういう感じの編曲というか作曲ではシチェドリンの「カルメン組曲」も有名曲カルメンを弦楽と打楽器で編曲したような曲もあります。


その他では「音楽三昧」という団体による演奏だろうか?やはりショスタコービッチの第5番が大胆でおもしろいね。

コメントする