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November 24, 2004

●マルタン君物語

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だいたい購入してつんどくのは仕方ないけど、せめて出だしの5行くらいは読もうよ、って自分に説教したい。だいたいこの本5行も読めば、私の好みからいってはまるに決まっているのである。そうなら、10年以上前に読み終わっていたはずだよなあ。残念!というわけで、マルセル・エーメの「マルタン君物語」を読んだ。もっと早く読むべきであった。

ただ、最初の「小説家のマルタン」が自分のツボにはまりすぎたので、他にもこのレベルを期待していたら、ちょっと違っていたような気がする。まあこういう大技ばかりでもワンパターン化するのでよくないとは思うんだけど、最初に炸裂すると、後への期待が持たないっす。もうひとつ二つこのくらいのが入っているとバランスよくて強烈だと思うなあ。まあ最初の「小説家のマルタン」だけでも読む価値はあると思うので。

以下ネタばれありです。読んでからにしましょう。

小説家のマルタン

だいたい最初から強烈である。自分の小説の登場人物を必ず全員殺してしまう小説家のマルタン君が魅力的すぎる。しかも殺してはいけない状況になって煩悶するところがおもしろい。そのうえ、端役だったはずの夫人が登場して、主役をはるのかと思えばあーら不思議、病になって消えちゃうんですねえ。この展開が楽しすぎる。メタフィクションな小説つうかしかけなんですが、いやあ飄々としているのがいいですね。

おれは、くびになった

これはマルタン君ものなんだろうか?そういえばマルタンって姓なの?

生徒のマルタン

なんかマルタン君の位置付けがひねくれていて良いね。公正な先生の最後の叱り方が面白い。最近大人でもこういうのわかってないやつ多いからなあ。

死んでいる時間

ほとんどラファティかディックのSFかと思った。が、シリアスに進むように見せておいて、最後のアンリエットの言葉がいいね。うん、そうでなくっちゃって感じ。

女房を寝とられた二つの肉体

全く変なこと考えますよね。大体最初からはためいているズロースをどうするんだ、と思っていたらこんなふうに使うかいって感じ。これも最後の落ちがほとんど落語の世界だね。「頭山」みたいにアニメにしてほしいと思う。でも、これって見えていると少し面白くないのかな。

マルタンの魂

いやあ、これも最後のひねくれ方が好き。魂がなくなってからのマルタンの壊れ方がいいよね。でも、最近こういう人が多いからちょっとインパクトは薄れたかなあ。

エヴァンジル通り

マルタン君はでてこないんですが、アルセスト夫人のいい加減さが好きだ。冬のソナタにはまっている奥さんみたいで面白い。

クリスマスの話

よくわかりません。クリスマスの子どもっていう伝説とか風習があるんじゃろか?なんかひねくれた感じが楽しい。コンスタンタン特務曹長は、結局みんなに誤解されて嫌われつづけるんだろうなあ。

銅像

これもひねくれた感じがすきなんだけど、もう少し破壊力があったほうがいいなあ。そんな小説ではないことはよくわかっているのだが。結局最初嫌っていたパントン嬢のようになっていくのがおもしろいね。

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