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December 12, 2004

●顔

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というわけで、急に読みたくなって、エラリー・クイーンの「」を読んだ。これで、33/39クイーン。 「顔」は後期の作品で、華麗な展開はないのだが、けっこう渋い。このなんともいたたまれない後味が好きだ。推理小説としては途中でわかっちゃうので、評価低い人も多いと思うんだけど、後期のクリスティーと同様に、読後に噛み締めると味が出るタイプなのだと思う。

前期の国名シリーズなどは、推理としての緻密さや展開は優れているんだけど、小説としてはあんまり後に残るものはないような気がする。もちろん本格推理小説なので、推理の部分がすべてだ、と評価する人もいるだろうが、自分は推理が少々へたっていても後でかみしめて味が残るほうが好みになってきている。だいたい初期の作品では、トリックは覚えていてもどういう話だったか全然覚えていないし、果ては犯人すら忘れている。これは私だけかもしれないのだが。

一方この「顔」では犯人やトリックは私にはすぐわかったんだけど、faceというダイイング・メッセージの扱いや、最後コンサートの中での気付き方があまりにも印象的で、そのあたりの使い方が好きだなあ。特にface、私がわからんかったのはしょぼん、というかんじです。

本当に愛していたのだろうかという最後の謎は多分クイーンにも解決できないのだろう。

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