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January 19, 2005

●QED 鬼の城伝説

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前の「QED ~ventus~ 鎌倉の闇」が事件部分があまりにひどかったので、危険だなーと思いつつ、やはり新刊が出たので買ってしまったのです。で、今読んでる重いやつをちょっと止めて、高田崇史の「QED 鬼の城伝説」を読了。いや今回のは事件も謎も薀蓄も良いバランスだなあと思いました。

今回は岡山の温羅伝説や鳴釜神事、桃太郎まで含めての話題は知らないことも多く面白かったし、事件のほうもまずまず、動機や意識付けも含めてよいんじゃないのと思った。もっとも首切るのは時間的にとても無理だからなあと思っていたんだけど。

タタルくんも即時解決型の探偵だけに登場は難しいね。今回も最後の解決編に向かうところでの登場だし。他の作品だとそれでも良いのだが、QEDの場合、タタルくんの薀蓄が一つの柱なので、その分前半が他人からの説明にならざるを得ず、そのあたり難しいなあと思った。即時解決型探偵を最初から出して、最後まで引っ張るワザの一つはクイーンの「スペイン岬の秘密」あたりだと思うが、これはよほど緻密に作らないとうまく機能しないし、難しいもんである。でも、今回は最初の部分でタタルくんからの薀蓄は捨てても、全体としてのバランスは非常に良いと思った。ただ、読者の立場をあらわす奈々はちょっと弱すぎるなあ。

吉備における豪族と大和朝廷との争いについては、なかなか面白い。私も出雲系と天皇系の勢力争いは興味があって、旧唐書倭国伝、日本伝(だったと思うが)などの二つの日本の記述などは興味深い。この時代よりはあとになるが、継体天皇から欽明天皇と安閑・宣化両朝の二朝並列説なども両者の流れがあるものと思っている。私の場合、この二朝が争っているときに西暦535年の大噴火があって、大陸より難民が大量に帰化人として到来、争っている場合ではないということで欽明天皇に一本化するとともに、両勢力から交互に天皇を立てることにしたのだと考えている。このあたりは欽名以降の天皇陵が河内と奈良で交互に現れるあたりが、勢力の基盤をあらわしていると思う。また仏教伝来もこの緊急事態と切り離せないと思う。

その後その争いは緊急事態が収まるとともに忘れられ、長い推古朝で有名無実化したのではなかろうか。もっとも本当に推古朝はそのとおりだったのかは怪しいのだけれど。といったふうに古代史もまた楽しというところである。できれば天武・持等あたりまではなんか書いてみたいなあ。最後は全然鬼の城伝説の話ではなくなっちまいましたが。

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