« プリーストリー氏の問題 | メイン | 怯える小鳥 »

February 23, 2005

●テンシュテットのプロコフィエフ交響曲第5番

CD-Tennstedt-01.jpgpad10.gifCD-Tennstedt-02.jpgpad10.gifCD-Tennstedt-03.jpg

テンシュテットが1998年に死去してはや7年。当時あんまり聴いてなくて(EMIが好きでなかった)、最近マーラー全集などで購入して良いなあと思っていたんだけど、どちらかというと落ち着いた感じかと思っていた。今回協奏曲をいろいろと聴きたくなってブーレーズ指揮のバルトークのピアノ協奏曲集やカバレフスキー、ハチャトリアンの協奏曲などを購入したついでに目にとまったテンシュテットの「プロコフィエフ交響曲第5番」バイエルン放送交響楽団1977年のライブも購入してみた。

プロコフィエフ交響曲第5番は結構いろいろ買ってきたのだが、オビに短しタスキに長しで自分にとって不満が多い曲なんだけど、うーん、もう一回だけ勝負してみるか、、、いや、こいつはすごいです。うーんとっても満足しました。というわけで今回はこれを大推薦しておきたい。いや、このBlogは推薦コーナーではないんですが。。。バルトークのピアノ協奏曲集もすばらしい演奏なんだけど、今回はやはりテンシュテットだ。おかげでこのシリーズで出ていた「ブルックナー交響曲第3番」「モーツァルト交響曲第32番第1番、シベリウス:ヴァイオリン協奏曲」も買ってしまったのだった。Amazonにはのってないみたいなので、HMVの紹介へリンクしておきます。

私の場合、プロコフィエフは交響曲第5番好きがもう圧倒的で、古典交響曲や第6番あたりも好きだし、第3番や第4番も普通に聴くし、キース・エマーソンのロミオとジュリエットもよいんだが、やはりプロコフィエフといえば第5。どうもLPの時代にバーンスタイン/イスラエル・フィルのを聴いて以来刷り込まれているようである。他にCDでも7,8演奏を購入していると思うが、あんまり納得いくものがなかった。小澤のものは音は良いのだが、どの部分も気に入らない。テンポがどうのというより、どうも自分のこうしてほしいという表現のときに、すべて逆をやってくれているような稀有の演奏なのだ。まだヤルヴィのほうが好きだな。ヤンソンスもまあまあ好きだし、チェリビダッケもそれなりに好きだ。バーンスタインはCDで買いなおしたので昔よりは客観的に聴けたが、どうもテンポが異様だから好きだというわけでもないらしい。

「プロコフィエフ:交響曲第5番」
テンシュテットのライブを聴いて、目からウロコが、というより耳からエクトプラズムが、という感じでございます。すごすぎる。結構速いと思うのだが、速いからよいというのではなく、音楽が生きているという感じだ。なるほど、自分がいままで聴いてきて納得いかなかったのは、アゴーギグというよりはアーティキュレーションの不足なのだと。この曲ではもうこれぐらいアーティキュレーションやらないと全然効いてこない、エッジが立たない感じなのだと実感。ライブだし速度も速いので4楽章などちと壊れかけている部分もあるが、そんなことは音楽の価値には何の関係も無く、ただひたすらに生きている音楽を聴くことができる。

このアーティキュレーションのどぎつさは1楽章でも同様で、Andanteであってもこの曲にはトーっても重要なのだと実感したのである(ちなみにこの演奏が、というわけではなく、この曲では私は1楽章が一番好きかもしれない)。他の評で、「1楽章のロシア的な陰鬱さを・・・」というのをみかけたけど、私は1楽章に陰鬱さを感じたことは無いので、ちょっとこのあたりはワタクシだめだめかもしれんのだが、バイエルンの音もやりたい放題という感じで、すげえとしかいいようがないっす。もっとも他の曲でここまでやると嫌味以外のナニモノデモなくなるような気がするので、そうか、自分はそういうケレンの部分に惹かれていたのかーと改めて納得した次第。このCDには第7番も入っていて、これも良い演奏なんだけど曲への愛着からやはり第5番のことばかりなってしまいまんもす。77年のライブなんだけど、音質も結構良いです。

この曲ではつややかで強靭なメタリック塗装のプラスチックな感じなんだけど、これもバーンスタインのLPジャケットの黒い鉄鎖に印象付けられているのかもしれん。

「ブルックナー:交響曲第3番」
当然こちらはプロコフィエフのようなど派手なアーティキュレーションはありません。こちらは一転して、丹念に丹念に音を隙間無く塗りこめていった感じ。ブルックナーはやはり音の塊の質感がないとねって感じ。1楽章、なるほど1st Vnと2nd Vnの掛け合いってこんなふうになってたのかーと初めてわかったり。あんまり第3番聴き込んでないことがまるわかりでんなあ。

「モーツアルト:第1番第32番、シベリウス:ヴァイオリン協奏曲」
これも良いです。ただ立派な演奏なんだけど、シベリウスなんかはもっと薄いほうが好きかも。でもライブを考えるとこれぐらい情熱的なほうがいいのかも。

総じてどれも推薦ですが、私の好みでは「プロコフィエフ」>「ブルックナー」>「モーツアルト、シベリウス」でしょうか?曲の好みも相当入っています。

コメントする