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February 21, 2005

●プリーストリー氏の問題

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「シシリーは消えた」に続いて、バークリーの作品を読んでいる。といってもバークリー名義ではないのですが。A.B.コックスの「プリーストリー氏の問題」です。A.B.コックスはアントニー・バークリーの本名のはず。いくつか小説もあるようで、「シシリーは消えた」も最初はA.B.コックス名義で新聞連載されたとか。

で、「シシリーは消えた」はまだ推理小説の範疇なんだけど、「プリーストリー氏の問題」はもはや推理小説ではなくスラップスティックみたいな感じなんだけど、でも推理小説を思い切りパロディ化しているから、やはり読者層は似たところなんだろうなあと思う。で、こちらも大変面白かった。最近のように殺伐としていないのがよい。

もう途中から最後のオチは大体わかるんだけど、そんなことは気にせずにこのこまっしゃくれた登場人物の引き起こすどたばた喜劇を心行くまで笑えばよいのだと思う。途中のシーンや会話はとてもしゃれていておもしろいし、お互いに心理的に勘違いして成り立っていく筋は本当におもしろいなあ。

シンシアさんがしっかりもんで楽しい。ローラの小悪魔ぶりとひねくれ方と最後の変わり方はもっと好きだ。プリーストリー氏の最後まで、はっきりできないところも含めて面白すぎる。なんかあまりに楽しいので、こういうのを映画できちんと作ってくれないかなあ。どこにも特撮なんかはいりませんけど。

推理小説としては「シシリーは消えた」のほうがもちろんおもしろいんだけど、ハイテンションぶりはこちらだし。うーん、どっちも捨てがたいので、結局どちらも読んでくれって感じ。で、こういうのをげらげら笑える(もっと上品でくすくすでも良い)人と友人関係でいたいと思うような本です。

プリーストリー氏のように暮らしているので、きっと私も蕪野郎なんだと思われ。

コメント

かわいそうなんで、バークリーのものも読書録にいれました。

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