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April 17, 2005

●死者を統べるもの ナズュレットの書2

マカヴォイの「ナズュレットの書三部作」の第二巻です。ぼくにはおもしろいんだけど、なんかマカヴォイの売れない理由もよくわかる気がする。だいたいクライマックスでけっこう絶体絶命感をだしておいて、最後はその落ちでいいのか!というのは、人間の甘いぼくでも少々まずいんじゃないのーと思ったり。でもそういうストーリー的なところに味があるわけではなく、むしろその中でのナズュレットとアーリンの行動に味があるわけで、そういう意味では良くも悪くもマカヴォイらしいと思う。

だいたい第一巻の数年後、ナズュレットはアーリンと世捨て人のように暮らしているんだけど、そこに刺客が、からはじまって、レズミアへの旅、新しい登場人物、裏の陰謀などファンタジーの文法そのままなんだけど、一般的な文法にのっとった部分は言うほどには面白くなくて、むしろナズュレットとアーリンの行動と考え方だけがおもしろいので、ちょっと普通に読むのはつらい。また翻訳だけの問題ではなく、もともとがそうなんだろうけど、あまりに比喩的な言い回しなどで、何がどうなったのかわからんところがあって、この上第三巻が英語だと大丈夫なんじゃろか、と我ながら不安です。

前にも書いた通り、設定(二大国や陰謀など)だけだとフィーストの「王国を継ぐもの」と似ていると思うが、ストーリーはフィーストのほうがおもしろい。ただ、ぼくは性格的に単純すぎるフィーストよりはなんだか屈折しているマカヴォイのほうが好きだ。でも第二巻よりはやはり第一巻のほうがおもしろいなあ。理由を考えたんだけど、ナズュレットとアーリンの人物像は第一巻では衝撃を受けるけど、第二巻では慣れちゃうし、第二巻はやはりナズュレットとアーリンの物語に終始しているところと、新しい登場人物の魅力がいまひとつ、魔術師もちょっとワンパターンのようにみえるし。また、昔の懐かしい人物、ポウルはご都合の良いところにでてくるだけだし、ルドフ王も出番が少ない。いや一番の理由が、もはやナズュレットが愚直に見えんからかもしれん。というわけで、第一巻よりもちょっと自分としての評価が低くなるし、そういうわけで翻訳打ち切りも故なきではないのかもしれんと思った次第。まあ本当の理由は契約なのか何のか知らないんですけどね。

第三巻ではさらに後の時代らしい。アーリンが。。。(涙)

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