●テンシュテットとノリントン
そういえばワーグナーのオペラには疎く、管弦楽曲も普通には聴いているけど、携帯式MP3には入れていなかったのだが、テンシュテットのワーグナーライブを購入したのにあわせて手元にあったシノーポリ/ニューヨークフィルのものと新たに購入したノリントンのものを入れてみました。Amazonへのリンクはノリントンのみで。
シノーポリはまあ今聞くとちょっとやりすぎ気味でおいておくにしても、テンシュテットが芳醇な熟しきったボディのワインだとするとノリントンは100%生絞りの新鮮グレープジュースであろうか。比較することには意味も無く、どちらも聴きやがれ、という感じですけど。
ノリントンの演奏に関しては、ワーグナーの演奏を古典的にやっても・・・というかそういう意見もあったりするんだけど、説明によると単に古典な奏法というわけではなく、ガット弦やノンビブラートという当時の奏法の再現にあるようだ。だけど、やはり「マイスタージンガー」の8分20秒は驚きですがな。最近サヴァールのベートーヴェンの第3番英雄の速度にも快感を感じていたものだが、それでもその演奏は英雄の範囲内。この「マイスタージンガー」なんか完全に曲としての次元が違うようなイメージです。もっともこれはワーグナー自身が自分なら8分数秒で・・・とか、自分の曲の演奏は遅すぎると言っていたらしく、彼のイメージではこんな感じだったんだろうか?作曲者=良い指揮者というわけでもないけど、聴く価値には関わってくるだろう。
単純にスピードが速ければよいわけでは決してないのだが、しかしこれは耳からウロコが落ちるようで好きだ。もっとも、その対極にあるようなテンシュテットの豊穣な「マイスタージンガー」も好きで、もはやこれは乗り物の種類が違うのだからしょうがないという感じ。ただ単に移動先に着くだけならかかる時間が問題なんだろうけど、鉄道には鉄道の楽しさがあり、飛行機好きには飛行機に乗る楽しさがあるのだから、その両方を楽しめるのが良いと思う。
テンシュテットのワーグナーライブはある程度の水準の音ではあるが、一部金管が音割れしているように聴こえるし、拍手も相当早く入ったりする。これは復帰演奏会で、最初から聴衆も異様な雰囲気だったとのことで。ただ、曲目順がその日の演奏会のプログラムの順とは異なるとのことで、これは順番どおりで出しても良かったんじゃないかなあと思ったり。