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July 10, 2005

●ソルトマーシュの殺人

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国書刊行会の世界探偵小説全集はアントニー・バークリーが読みたくて買い始めたんだけど、最近は他の作家にはまっている。英国ファルス派というか英国新本格派のマイケル・イネスもおもしろかったし、マケイブもけっこういい線いっていた。デイリー・キングは「海のオベリスト」を先にしてしまったのだが、「空のオベリスト」も準備済み。。。なんだけど、次は英国ファルス派にはいるらしいグラディス・ミッチェルの「ソルトマーシュの殺人」を読んだ。これ大好き。マープルものをぐちゃぐちゃにして歪ませて皮肉たっぷりにするとこうなるのかな。

魔女の血を引くという変り種の女探偵ミセス・ブラッドリーが登場する「ソルトマーシュの殺人」は、クリスティーの「牧師館の殺人」みたいに、村での殺人事件なんだけど、殺人事件よりも村の人々のちょっとしたおかしなところがおもしろい。ただ、そのおかしなところの中にヒントがしっかりと入っているところが気持ちいい。ミセス・ブラッドリーはもうマープルとは正反対というか、人間を見る眼のするどさは同じでも、このひねくれ方はすばらしいですな。マープル物が好きだけど、もっとひねくれて過激なやつが欲しい人向きです。

物語の進み方もなんか事件よりも村人のどたばたを描いているようで、最後には各シーンがきれいにはまるあたり、けっこうすごいんじゃないかと思う。ただし、ワトソン役の副牧師ノエルの知能レベルはもう少し上に設定して欲しかった。また、特筆すべきは最後のブラッドリーの日記で、簡潔にすべてがわかるようにできていますし、その最後の一行はまさに衝撃です。絶対に見ないようにして読みましょう。

うーん、他のも読みたいなあ、ということで「月が昇るとき」晶文社を購入済み。数十作の多作でありながら、絶版もいれて3作しか邦訳されていないのは、ちょっと信じられません。処女作から読みたいぞ。また、英国ファルス派は他にもあれば読みたいのう。。。

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