●愛は血を流して横たわる
エドマンド・クリスピンはポスト黄金時代ということで、最近イネスとかの英国面白派が好きなので気になっていたんだけど、とりあえず国書刊行会の「愛は血を流して横たわる」。えっと、どろどろの恋愛悲劇のようなタイトルですが、全然そういうことはございませぬ。ジャーヴァス・フェン教授による学園モノとでもいいましょうか、ちょっとシニカルで、けっこうどたばたな感じが楽しゅうございました。というかクリスピンおもしろいじゃん!ということで、今回も星★4つ!なんか最近激甘採点です。で、クリスピンは他のものも読もうと思うぞ。
話はカスタヴェンフォード校(男子高校?)の卒業式の前日から起こった不思議な事件(女子生徒の失踪、化学薬品の盗難)と教師の連続殺人ということで、内容は盛りだくさんだけど、学園生活の端々をシニカルに示しながら良いテンポで進んでいくのでとても楽しい。イギリスではミステリに限らず「学園モノ」って一ジャンルのようなんですが、結構おもしろいなあ。閉鎖社会の面白さということは、やはり海の向こうでもちょっと閉鎖社会で異世界なんだろうなあ。高校あたりの話なんだけど、広さとかしくみを考えても日本では大学に置き換えて考えないと雰囲気がわからないのはちょっと悲しい。
フェン教授のいい加減な感じもおもしろいし、なによりもリズム感がよい。だらだらと尋問したりするのとは大違いだと思う。というわけでクリスピンは今後も読みたいのだ。とりあえずハードカバーの3冊を購入した。へへへ。