●大聖堂は大騒ぎ
「愛は血を流して横たわる」が面白かったので、続けてエドマンド・クリスピンの「大聖堂は大騒ぎ」を読んだ。おもしろかった。もっとも好き嫌いは別れるかもしれません。推理小説としての完成度は・・・壊れているかもしれないし、トリックは・・・これも壊れているかもしれん。でもジャーヴァス・フェン教授が活躍、というか引っ掻き回しているだけのようにもみえてしまうのだが、がんばってくれればそれでいいのだ。星4つといきたいところだが、その次に読んだジョゼンフィン・テイの「歌う砂」のほうがうまさに感心したので、星3.5で。
クリスピンのものは本当に好き嫌いが別れそうな気がする。自分でも若い時に読んでいたら、なんじゃこりゃ、究極のバカミスかもな、と思っただろうが、最近はそのバカミス度合いが好きなのだ。もっとも最近の日本の新本格?系統のバカミスとはちょっと雰囲気が違うと思いまする。バカミスはバカミスでも黄金期的なバカミス・・・自分でも何かいているのかよくわからん。
「大聖堂は大騒ぎ」は長編2作目で、やはりこういうウィットが私は好きなのだ。ストーリーとトリックと犯人を考えてしまうと小説としてはぼろぼろなんだけど、ウィットとユーモアと皮肉(全部似たようなもんか)のバランスがたいへんよろしい。また展開のスピード感覚もすごく好き。このあたりはうまいと思う。でも本当にトリックと犯人はぼろぼろだけどなあ。。。まあちょっといろいろなものが詰まりすぎている気もするが、その過剰さを楽しむ意味もあるし。