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December 20, 2005

●オデュッセイア〈上〉

book-ODYSSEY.jpg直接のきっかけはラファティの「宇宙舟歌」なんだけど、まあ「ユリシーズ」も積んでいるし、その先には「陽かがよう迷宮」もあるし、最近「ペネロピアド」もあるので、そろそろホメロスの「オデュッセイア」も読まなきゃなーということで、読み始めました。なぜか岩波文庫の呉茂一訳の下巻があったので(きっと上巻はどこかに埋もれているか捨てたかだな)、何も考えず岩波文庫の上巻を買って読んだら、途中で訳者が違うことに気づいた。で、最初は退屈かなーと思っていたんだけど、第2歌あたりからおもしろくなっちゃった。なんというか様式感というか語り口がおもしろい。しかも今の目で見るとオデュッセウスってただの悪漢じゃないですかいのう。。。という意味でなんつうか自己中心的なピカレスク小説として読んだりして。翼ある言葉にかけて面白いが、星は4.0。でもこういうのに慣れないとおもしろくはないかもしれない・・・が、個人的評価なので。

最初こういうのは退屈かなあと思っていたんだけど、第2歌あたりからとても面白くなってきた。というのは、やはり持って回った言い回しや定型的な言い回しが枕詞のように自分の中でのリズム感にあってきているからだろうか。また単純な語り口ではなく、オデュッセウスの家から語り始めて、オデュッセウスへ、しかも過去の旅を語る形式にするなんざにくいにくいです。

話的には輝く眼のアテナさん活躍しすぎ・・・というかえこひいきしすぎ。で、どうも英雄というよりはオデュッセウスはなんかキュクロープスに対してとかわがままな海賊みたいだし、カリュプソーも魔女キルケとかいいやつじゃん。20世紀に読むとそれはそれで別の価値観で読んじゃったりするのかなあ。でもこれが2500年も前にできているとすると、人間なんて精神的には何にも成長していないというか、あるいは退化さえしてるんじゃないかと思ってしまう。

というわけで下巻がどうなるか次第なんだけど、けっこう面白いぞ。ギリシャ悲劇もきちんと読まないといかんなー。

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