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December 23, 2005

●地球礁

book-Lafferty -02.jpgR・A・ラファティ(Raphael Aloysius Lafferty)の「宇宙舟歌」が翻訳されたんだけど、あいにくまだ「オデュッセイア」は読書中ということで、買ったままになっていた「地球礁」を読んだ・・・が、これはアイルランド口承文学のパロディっぽいところもあってそれを読んでからのほうが良かったかなあとちょっと思った。でも挫折中だけど、フラン・オブライエンの「スィム・トゥー・バースにて」を途中まで読んでいたので、双方アイルランド伝説の語り口をもじっているんだなあとか。

で、プーカ人おもしろすぎ。でもバガーハッハ詩なんて本当に効いているのかどうかわからんのもおもしろすぎる。そのおもしろさは以下の如し。。。ということで、星4つ。もうそろそろ手に入れにくくなりそうなので、ちゃんと積んでおこうね。

アメリカのロスト・ヘヴンにやってきたプーカ人のデュランティ一家は、大人が4人子供たちが6人(か7人)。デュランティ家の大人たちは地球アレルギーにかかってプーカ人本来の力を失いつつあってへろへろ、でも、7人の子供たちは地球で生まれたので、地球アレルギーの免疫がある。原住民(アメリカの地球人だ)はデュランティ一家を怖れ目の敵にして迫害するが、6人(7人)の子供たちは、逆に地球人皆殺しをくわだてるんだけど。。。

だけど子供たち全然殺せてる気がしないし、なんかそのギャップがおもしろい。こういうあたり書いてあるとおりに読んじゃうのとはまた違うんだろうなあと思う。で、SFのようではあるけれど、プーカ人=アイルランド人という比喩も成立するし、アメリカの地方での偏見や迫害といった視線でもみることができて、このあたり前のデヴィットソンよりはよほどこちらのほうがすごい気がする。でもそんな重い話をぶっとばしながら進んでいく推進力と物語の力を感じられればと思う。重い寓話のようにもとれるけど、ぶっ飛ばした馬鹿話にも思えるところが良いのだ。

「トマスモアの大冒険」はもう少し普通の小説っぽかったような気がするが、これは読み直してみないといかんなあ。またはやく「オデュッセイア」を終えて「宇宙舟歌」に入らなくては。ただ、これからラファティを読む人は、長編から入って大丈夫か?という気はする。できれば短編集から入ったほうが良いのでは、とは思うのだ。

さてAmazonでは「イースターワイン」が出品されているけどさすがに文庫に25,000円は気が引ける。3億円の宝くじでもあたればねえ。また24日の時点では他に「つぎの岩に続く」はまだ2冊在庫があるみたいなので、持っていない人ははやく積んでおくように。「九百人のお祖母さん」が手に入りにくいのはもったいないなあ。

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