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January 11, 2006

●ローリング邸の殺人

book-Scarlett-01.jpg論創社から出たロジャー・スカーレットの「ローリング邸の殺人」を読んでみた。ケイン警視が巻き込まれる冒頭から、館の中で出てくる怪しい面々の怪しい行動の数々がそそります。トリックは、ちょっと無理があるかなあと思ったけど、私はそういうのには甘いので気にしない。でも解説はちょっと自意識過剰だよなあ。作品としては星3.5ですが、3.5は十分及第だと思ってくんなまし。

論創社からの刊行予定では
ジョセフィン・テイ 『列の中の男』
G・K・チェスタトン 『マンアライヴ』
パトリック・クェンティン 『巡礼者パズル』
パトリック・クェンティン 『ラン・トゥー・デス』
ナイオ・マーシュ 『死と踊る従僕』
あたりで、今年は舞い踊る予定でっす。

初手から怪しい友人の「友人が危険だ」という言葉、助けを求める小包、怪しい奥さんとその姉、怪しい医者、怪しい執事、古ぼけた屋敷、ゆがんだ会話、小さな変な出来事と雰囲気満点です。トリックは途中でそうかな、まさかなと思った部分もあるんですが、それで細かい部分がうまくつながるので許す!ってかんじ。ケイン警視それなりにクールでよかったです。

作者のロジャー・スカーレットは館もの専門らしいが江戸川乱歩に大推薦された「エンジェル家の殺人」も含めて日本でだけ有名ということだが手に入らず。あ、でも「猫の手」は積みました。で、話はというとこれがストレートな館もので、なかなか雰囲気があってよろしい。やはり館ものではそこが異世界であることと、その中で何かが起きているような怪しい雰囲気が重要である(もっとも暗黒館は私にはそうは思わなかったけど)。

book-mystery-dict.jpgついでに自分へのお年玉として、「世界ミステリ作家事典 本格派篇」を買う。値段は高い(¥7,350)が、どのページも楽しいのでお買い得だ。本当にいろいろな作家が載っているのと、最近出版されている作品まで紹介されているのですごいと思う。もっとも最近の出版は作品の選択自体この本を参考にしているという話もあるが。この作品も紹介されていて、下宿人が殺されるふうに紹介されているのはちょっと笑える。


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