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March 07, 2006

●クライム・マシン

book-CrimeMachine.jpg晶文社ミステリ終了ということで買ってあった「クライム・マシン」を読んだ。ジャック・リッチー知りませんが、甘ったるいと嫌だなーと思っていたら、カカオ分90%くらいの苦さであったので良かった。どうもスタージョンとかデヴィットソンは一部合成甘味料のような甘さを感じて、そういうところが嫌いなんだけど、リッチーのはそういう部分のカロリーオフ、大人の短編であった。推理小説ということではないので、クライムストーリーというのが適切なのだろうか?というわけで星4つ。

で、「このミステリーがすごい!2006」でも海外部門1位だったわけで、かといって売れているのかどうかは知らないけど、やはり晶文社ミステリ終わってほしくないなあ。

さて、ジャック・リッチーなんて知らないけど、「このミステリーがすごい!2006」海外部門1位だからまずまず面白いのか、でもおいらの最近の嗜好はみなさんとはあわないからなあ、と思いつつ読み始めました。最初の「クライムマシン」とかは途中でオチがわかっちゃったので、ちょっとジャック・リッチーたいしたことないかなあと思ってみたり、これはデヴィットソンで似たようなのを読んでたしねえ、こんなもんかなあ。。。と思ったのだが、その後「歳はいくつだ」「日当22セント」あたりからおもしろくなって、「こんな日もあるさ」「縛り首の木」あたりではくすくす笑って、「カーデュラ探偵社」以降はげらげら笑った。いや面白かった。「クライムマシン」とかはデヴィットソンで似たようなのを読んでたしねえ。

短編小説の場合、オチがわかると引いちゃう場合とわかっていて楽しめるものもあるんだけど、今回は私にとっては後者だな。甘ったるいというか一般的読者に媚びたようなオチだと私は不機嫌になるのだが、こういうオチは仮にわかっていてもおもしろかった。とくに「カーデュラ探偵社」のシリーズが、変にハードボイルドタッチで、しかもけっこうひねったオチで楽しかった。このシリーズはいいなあ。短編の場合、しかも表現をぎりぎりまで突き詰めていると、プロットだけになりがちなんだけど、ぎりぎりでユーモアというかシニカルな感じが良いと思った。「旅は道づれ」とか「エミリーがいない」は夫婦の感じが切り詰められた会話としぐさだけでよく出ていておもしろい。特に「旅は道づれ」は二人の女性の会話がけっこうとんちんかんでありながら焦点があっていく感じはうますぎます。そして解説の最後の2文だけの小説は「北斗の拳」かと笑っちまったぜ。

ちょっと変わった短編集だとどうしてもスタージョンとかデヴィットソンとかついつい比べてしまうのですが、考えてみるとスタージョンもあんまり読んだわけではないので、次は「一角獣・多角獣」を読んでみようかと思う。

コメント

たしかに、極限まで切りつめてもユーモアが失われないところがいいですよね。「クライム・マシン」は初読のときはすごいと思ったのですが、オチを知ってから読むとそう大した作品には思えなかったり。
リッチーは、見た目は風変わりですけど、ジャンルの枠内で職人芸をふるっているという感じを受けます。
スタージョンやディヴィッドスンみたいに、ジャンルをぶっこわすといったタイプでないのではないかと。

どうも、ジャック・リッチーおもしろかったです。ご意見のほうでは、うーん、ジャンルを壊しているかどうかが、私の好みとはあまり関係ないですかね。スタージョンやディヴィッドスンにみえる「あざとさ」が鼻につくんですよねえ。。。ちょっと微妙な表現だなあ。

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