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April 30, 2006

●蜂の巣にキス

book-Carroll-01.jpgジョナサン・キャロルはなんていったらいいか、一発芸を長編でやる珍しい人で、昔はそのアイデアでおもしろいものもあったんだけど、最近翻訳されてなかったんですよね。で、久々に新訳、「蜂の巣にキス」を読んだんですが、私はちょっと、、、というか全然だめでした。どうも「自分が大切、自分は素敵、自分はえらい」型のものは大嫌いで、久々に読んでいて最後まで不愉快で、イーガン以来の体験です。私はキャロルを究極のアマチュア作家だと思っていて、書く技術最低、アイデアがおもしろい、だったんですが、今回はアイデアも何もなく最低(私にとってね)だけが残ってしまったようです。それにしても引き出しが少ないなあ。。。星1つ。

だいたいジョナサン・キャロルは、
 (最後の一発芸的なアイデア)-(かったるい表現)>0
のうちはよいのだけど、今回は
 0-(かったるすぎて不愉快な表現)<<0
というわけで、だめだめです。編集者にでもファンタジー売れませんから、とか言われてミステリにしたのかなあ。でもミステリとしてはレベルが低く、ほかの分野の人がミステリ風に書くとこうなりました、って見本みたい。もともとミステリの人ではない竹本健治がしょうがなく書いているミステリみたいだ。彼の場合は技術で読ませることはまだできるんけど。。。

で、書いている文章はいつも人間として成長しきれていない甘ったれたやつが一人称で語り、陳腐な商品なんぞの例えでしか表現されない、ひどーいサッカリンを大量にぶち込んだような書き方なんですが、いままでは最後の落ちの救いのなさ加減とアンマッチでまだ救われていたと思う。が、今回はそのまま、おちなし。ミステリとしては、これなら日本の新本格のほうがまだまだおもしろいと思う。犯人は誰?というのはあっても、各人の行動とプロットに論理性もへったくれもない。だいたいあんだけ探せるならヴェロニカなんて2,3日で犯人わかるでしょうに。そういう意味で破綻しまくりなのであった。まあいつもは破綻しても最後の落ちでもっと破綻させるので許せるのだが、今回はまとめようとして、おいおい全然まとまってないんですけど。。。というところだ。普通に言えば翻訳されなかったのは正解なんだろうなあ。。。というわけでミステリのジャンルにはいれるけど、あんまり気分は良くない。

ジョナサン・キャロルが本当に小説を書ける力があるのかどうかは、三人称の抑えた表現で作品を書いてみることができるかどうかだろうと思う。そうできないようなら、もうおんなじ饅頭を作り続けるしかないんだろう。

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