●月館の殺人
綾辻さんの作品とはさようならーのはずだったんですが、漫画仕立てなので読んでみました。感想は・・・うーん、微妙。でも最近の彼の小説よりは良いもしれない。でもちょっとやはりものたりないかもしれない。
「びっくり館の殺人」は読まないと思います。テツちゃんのテツちゃんによるテツちゃんのためのミステリ。で、おいらはテツではないので、まあよくわからんところも多いのだが。トリックとか設定はまあ館シリーズと同様な感じなんですが、各人の個性はどうも取ってつけた的でやはりつらいと思う。そのあたり漫画のほうでカバーできれば良いと思うのだが、佐々木倫子もそういうタイプなんで、まあ仕方ないですねえ。
で、なんていうかどうしようもないテツちゃんへの愛情というか憎めない部分がうまくでないといけないんだけど、動機の部分でそのあたりが消されちゃうんで、やはり人間性の部分でなくトリックとかひっくり返しだけが視点のようになっちまうんですよね。そのあたりは結構不満である。そういう登場人物の心理的な部分の一貫性がないとあんまり私は好きではないのだ。なのでこれが本格かといわれると私の中では軸が違うのであった。
推理小説の漫画化では皇なつきさんが森博嗣さんの「黒猫の三角」を漫画化したのは良かったと思う。ちと人間性や表現で足りない部分をコマ割や表情などでうまくやっているなあと思ったのであった。