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September 07, 2006

●ほとんど無害

book-Galaxy-05.jpgまあ私の書いていることもほとんど無害であるとうれしいのだが、ダグラス・アダムスの「ほとんど無害」はほとんど無害というものではなく、そのあまりの哀しさに唖然呆然、放心の銀河ヒッチハイクガイドの最終巻であります。おお、三島由紀夫の「豊饒の海」四部作の天人五衰なみの喪失感でございます。

人によっては「許せん、こんなの銀河ヒッチハイクガイドじゃない!」ということもあるだろうが、私には第4巻、第5巻はなぜか心に残る、というかひっかかるものになったと思う。たぶん1~3巻ののりだと、もちろん楽しんだだろうけど、こんなふうに心に残りはしないだろう。もっともおバカSFとして、そんな残り方は嫌だ!という気持ちも重々わかる。。。難しいね。2つの第5巻が欲しかったね。で今回は、銀河4つ。

第5巻では、誰も彼もが何かを失っている。物語は昔の主役級を失っているし、トリリアンは昔の選択を惜しんでいるし、フォードは銀河ヒッチハイクガイドの変わりように怒っているし、アーサーはフェンチャーチを失っているし。。。で、物語の進み方は、焦点が2,3人になったせいかすごくうまく絡んで進んでいくと思う。ただ、やはり設定は怒り気味だし、少女のランダムが哀しすぎる。やはり時代も関係しているのかなあ。最初の頃はアポロとか宇宙にもなぜか夢があったよね。

で、終わりは開始とあまりに・・・・なのに、この最後はこんなに哀しいのはなぜだろう。うーん。。。というわけでお気楽SFとしては失敗着陸だけど、心に残る作品としてはすばらしいのではないだろうか。

とにかくなんとか5巻まで読了。ただ、哀しいかなこの半年ですでに前の筋をかたっぱしから忘れていく自分も哀しい。なかなかうまく話が絡んでいるけどうまく思い出せないんだよねえ。また近いうちに読み直さないといかないなあ。

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