●シンポジウム
うーん、ミュリエル・スパークの「シンポジウム」を読んで、どひゃっと思ったけど、どう書こうかと悩んで数日。もうスパークおばさん意地悪すぎ。 そういえば今年お亡くなりになったわけですが、死を忘れるな、ということでスパークおばさんあの世でもシンポジウムを開いているのでは。
マーガレットがおもしろすぎる。「レ・ゾートル(他者)の哲学」とかいいながら回りに不幸と疑惑をばら撒いていく姿はすばらしいです。で、マーガレット最強かと思えば、実は作者のスパーク最強!というところがおもしろすぎる。というわけで、星4つ。しっかし小説の作りといい、ヒルダの運命の提示といい、素敵です。I Love Spark!
いやいや堪能いたしました。しかしおのおのの人間像がおもしろい。どいつもこいつもおかしいんだけど、特にマグナス伯父なんか完全に狂ってるはずなんだけど、どの人もすぐ横にいるみたいだし、この変な人々の中でマグナス伯父が一番まともに見えちゃったりするのがおもしろい。もともと人間の本質が歪んででいるのかなあ。スパークおばあちゃんはもうぐりぐりえぐりだすからなあ。マーガレットはさすがスコットランド系魔女の正統なんでしょうなあ。でも、その魔女の意思をも越えて、スパークおばあちゃん最強です。ぶひ。
あで、そんなスパークの世界を遊ぶのによい本が「ミュリエル・スパークの世界―現実・虚構・夢」永田 美喜子著でございます。中に「シンポジウム」の章もあって参考になります。マーガレットの解釈については私は少々異なる感想なんだけど、全体的にスパークはぶっとんでいるので、よい案内になるでしょう。また、後ろについている全作品解題も便利です。でも・・・スパークの本体の本、すべて絶版なんですが。哀しすぎる。英語で読めるかなあ。。。
最近出版された若島正氏の「殺しの時間」の中にもスパークの「シンポジウム」のことが書いてあっておもしろかった。こちらは、他にもいろいろ読んだ本や読みたい本が紹介されていておもしろい、が、イネスなどけっこう展開が書かれていて、読みたくなる話と読んだときの驚きが減るのと痛し痒しの本でございます。つうかこの本で紹介されているものはそのうち翻訳されるんだろうか。。。翻訳してくれー。