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November 20, 2006

●ストッププレス

book-Innes-03.jpgだんだん文学より音楽寄りになっている予感。まあなんつうかバイオリズムのように文学よりのときと音楽よりのときがあるわけで、少々音楽寄りに傾いてきています。クラシックCDの話もあるけど、「日々是音楽」的話題も復活させたいと考えている今日この頃。

で、最近読んでいないのですが、やっとマイクル・イネスの「ストッププレス」を読みました。イネス畢生の大作というだけあって・・・つうか全編冗談なんですけど。でもイギリス的ブラックジョークの世界というか皮肉っぽいののせいくらべみたいな変な世界でおもしろい。アプルビイもけっこう嫌味なやつだし。というわけで星4.5.最後の0.5はちょっと長いこと。

さて犯罪者「スパイダー」が本の中から出てきて実際に怪事件を生み出しているのか、という魅力的な謎を中心にして、訳のわからない散らばり具合の出来事が、最後のエピローグに収束するのはすごいなあ。「何が起こっているのか」パターンの推理小説ってクリスティが「バートラムホテル」とかでやったのが最初かと思っていたら、こんな大物がやられていたんですね。もっとも、巨大すぎるんで、慣れない人は「アプルビイズエンド」あたりからのほうがよいかもしれない。でも「こんなの推理小説じゃない!」と壁に投げつけられそうな気もするんで、ちょっと簡単には推薦しにくいのですが。

で、すごいのはこの。「何が起こっているのか」パターンでこれだけ巨大な世界をつくりながら、偶然がないのが一番うれしい。この種類では、偶然といわれた瞬間にがっくり来るんだよねえ。そういう意味ではもっと昔からこういうのはあったかもしれないんだけど、残っているのはクリスティにしろ京極夏彦にしろ変な偶然は入れてないということかな(最近京極さんのは少し偶然ぽくて不安だが)。このイネスの「ストッププレス」では、最後までわたしゃ何が起こっているのがわからず、もう最後はびっくりですよ。

登場人物がまた個性豊かでおもしろい。つうかそれが主役だったりして。でてくるエリオット家ののほほん感はちょっとランプリイ家を思い出した。いや「アプルビイズエンド」のレイブン家か。こんなのいっぱい読んでるとイギリスに行ってみたくなるんだよなあ。ちょっとお高くとまったというか歴史が作った性格は京都に似ているのかも知れん。

解説に書かれていたのだが森英俊氏によれば、「学長の死」「ハムレット復讐せよ!」「ある詩人の挽歌」「ストッププレス」と史上最強のカルテットということだが、いや本当に賛成です。。。が「学長の死」が読みないんですけど。しょんぼり。でも確かにこう並ぶと凄いなあ。ただ、この冬にはカワデミステリから「アララテのアプルビイ」、長崎出版から「証拠は語る」が出るらしい。うーん、まったりとした正月になりそう。いや「ストッププレス」みたいに積読になるかな。

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