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March 20, 2007

●日々是型本格(海外編)

で、海外編も書いてみる。こうしてあげてみると、緻密な推理よりは雰囲気というか全体としての一体感を重視しているような気がする。まあこんな好みを元にいつも好きなこと書いてるわけです。

とりあえず、犯人に意思がないのは嫌だ。推理小説の中くらいは犯人は強い悪意と犯罪への美意識を持っていただきたい。偶然の固まりも嫌だ。

長篇

イーデン・フィルポッツ 「赤毛のレドメイン家」
A・A・ミルン 「赤い館の秘密」
アントニイ・バークリー 「毒入りチョコレート事件」
アガサ・クリスティー 「予告殺人」
エラリー・クイーン  「靴に棲む老婆」
S・S・ヴァン・ダイン 「僧正殺人事件」
ジョン・ディクスン・カー  「火刑法廷」
ジョセフィン・テイ  「歌う砂」
マイクル・イネス 「ハムレット復讐せよ」「ストップ・プレス」
ナイオ・マーシュ 「ランプリイ家の殺人」
グラディス・ミッチェル 「ソルトマーシュの殺人」

短篇

G・K・チェスタトン 「ブラウン神父の童心」
アガサ・クリスティー 「火曜クラブ」「謎のクィン氏」
T・S・ストリブリング 「カリブ諸島の手がかり」
ジャック・リッチー 「クライム・マシン」「10ドルだって大金だ」
ハリイ・ケメルマン 「九マイルは遠すぎる」

長篇

イーデン・フィルポッツ 「赤毛のレドメイン家」

たとえトリックがすぐわかろうと犯人がすぐわかろうと、これが好きなのは犯人像につきる。やはり本格の犯人は頭が良くて嫌味で自己肥大で悪意をもってもらいたい。

A・A・ミルン 「赤い館の秘密」

なんだかのんびりとした感じだが館ものとしては結構好きかも。でもあんまり昔に読んだので覚えてないかも。

アントニイ・バークリー 「毒入りチョコレート事件」

バークリー好きなので本来なら「ジャンピング・ジェニィ」とか「試行錯誤」が好きだが、人に推薦するには気が引ける。一応定番だが、その後には短編の「偶然の審判」も読んで欲しい。

アガサ・クリスティー 「予告殺人」

まあ他にもたくさん良いのはありますが、全体のバランスとトリックの融合という意味ではこれが好きでしょうか。好みだけから言うと自分的に思い出3部作と思っている「象は忘れない」「復讐の女神」「運命の裏木戸」が好きなんだが、一般向けではないだろう。

エラリー・クイーン  「靴に棲む老婆」

国名シリーズみたいに犯人は誰でも良いみたいなのは、いくら推理が緻密でも嫌いだ。犯人に何の思い入れもできないではないか。「厄災の町」や「十日間の不思議」あたりが良いが、やはり変な設定で「靴に棲む老婆」を。「最後の一撃」を読み直すとそれに転ぶかもしれない。

S・S・ヴァン・ダイン 「僧正殺人事件」

論理的な推理なんかないけど、もちろんこれが本格なのだ。で、グリーンよりは僧正なのだ。犯人の差かな?

ジョン・ディクスン・カー  「火刑法廷」

カーは実は苦手である。落としどころが2時間ドラマの域を出ていないような気がするから。まあ「火刑法廷」かな。変格だな。

ジョセフィン・テイ  「歌う砂」

もう全然推理なんかないけどこれが本格。「時の娘」が有名だけど、こちらのほうが超浪漫だ。グラント警部の再生に涙しよう。

マイクル・イネス 「ハムレット復讐せよ」「ストップ・プレス」

イネスこそ我が本格。最強のカルテット(by森英俊)全部でも良いのだろうが「学長の死」は読んでないしなあ。。。本格とは遊ぶこと。

ナイオ・マーシュ 「ランプリイ家の殺人」

えー、これも好きです。読んでいる時間が楽しんでいる時間。

グラディス・ミッチェル 「ソルトマーシュの殺人」

これも緻密な推理はなくても探偵が楽しい。最後の1行の一発が本格魂。

短篇

G・K・チェスタトン 「ブラウン神父の童心」

つうかブラウン神父もの全部、ポンド氏もゲイルも全部重要。

アガサ・クリスティー 「火曜クラブ」「謎のクィン氏」

他の短編も全部良いです。

T・S・ストリブリング 「カリブ諸島の手がかり」

最後の一発も含めてとても楽しい。私は迷探偵好きかも(銘探偵も好きだが)。

ジャック・リッチー 「クライム・マシン」「10ドルだって大金だ」

ヘンリー・ターンバックル部長刑事の迷推理はおもしろすぎる。

ハリイ・ケメルマン 「九マイルは遠すぎる」

ラビものはそれほどでもないがこの短篇集は好きだ。短編向きの作家だと思う。


長編では謎や雰囲気、犯人像を重視している(もちろん推理の整合性は重要ですが)。意思のない犯人は推理小説には登場しないでいただきたい。探偵や警察をもてあそぶゆとりがある犯人が理想。また総じて短編は綿密な設定や推理は無理なので、やはり謎の提示や意外な結論、落ちが重要かな。

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