●天帝のはしたなき果実
出社していたので東京の某演奏会にもいけません、はふう。今回の川島博さんの「バラード」は聴きたかったのう。。。でもこれは演奏したいほうか?でももう熱くはなれないかもね。
さて古野まほろの「天帝のはしたなき果実」は、合奏系クラブの暑さと甘酸っぱい感じが萌え萌えでよかった。メフィスト賞であるが、推理小説としてよりも金管萌え萌えな感じがほのぼのしてよい。保科洋とかリードとか会話が変ロ調だったり、知っていると笑えて楽しかった。が、ガジェット的にちりばめられた地口やギャグがわからんと面白くないだろうなあ。一般にはついていくの無理だろ。
で、推理小説としては結構壊れてるし、最後は行っちゃう系だけど、結構気に入っている。やはりラスボスはこれぐらいの悪意を持ってもらいたいものだす。
そういえばメフィスト賞はあんまり読んでなくて、
* 第1回 - 森博嗣 - 『すべてがFになる』
* 第2回 - 清涼院流水 - 『コズミック 世紀末探偵神話』
* 第9回 - 高田崇史 - 『QED 百人一首の呪』
* 第12回 - 霧舎巧 - 『ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ』
* 第13回 - 殊能将之 - 『ハサミ男』
こんな感じ。で、第35回 - 古野まほろ - 『天帝のはしたなき果実』だそうで。でもこいつはおもしろかった。虚無からの言葉が引用されているが、匣の青春的な感覚の中に黒死館な無駄な知識でのバロック的な装飾とでもいいましょうか。まあこういうのは個人の感性にあえばおもしろいし、あわなきゃ全然だめなんだけど、おいらの場合ツボに入ったということです。ま、でも音楽系合奏の経験や知識とオペラとかマンガとか朔太郎とかその他もろもろ結構おいらの好きなものが多いということですね。アンドレア・シェニエかと思えば、フェードラのほうへいくあたり、なかなか歪んでいてよろしい。
ほのぼの甘酸っぱい系青春路線も、知識廃人が妄想する理想の青春倶楽部活動なんだけど、それっておいらの妄想に近いかも。最終章はもう全然別世界へ行ってしまいますが、最初に書いたとおり、ラスボスが超然たる悪意を持っている限り、私にとっては久々に犯人にほれましたです。で、最初の引用の言葉は結構重いなあ。
というわけで続けて次の天帝も読むのだ。
コメント
こんにちは。
「黒死館」「虚無」「京極でないほうの匣」系列ということなら、
私も好みかもしれません。
アマゾンのレビューも賛否がくっきり分かれていて面白いですね。
読んでみます。
Posted by: 木曽のあばら屋 | June 24, 2007 07:38 AM
はまればよいのですが、はまらない確率も高い気がします。読んだらどうだったか教えてください。
Posted by: なおき | June 24, 2007 07:47 PM
ううむ、「供物」か「失楽」かと思いながら読んでいたら、
最後で西尾維新になっちゃったって感じですね。
でもまあ面白かったです。
第2作も読んでみようかな。
Posted by: 木曽のあばら屋 | July 11, 2007 06:04 PM
最後は向こうへいっちゃいますからねえ。西尾維新っていっちゃうんですか?読んでみようかな。
Posted by: なおき | July 12, 2007 11:18 PM