●クロエへの挽歌
アリンガムは英国4大女流推理作家の一人といわれていますが、日本ではあんまり出版されていません。最近黄金時代の作品があいついで翻訳されている流れの中で、アリンガムの作品の翻訳も少しづつ増えてきたなという感じ。
「クロエへの挽歌」は、ミュージカルの花形スターとその周辺で起こる不穏な出来事、そしてその自宅でついに女優のクロエが死ぬのですが、、、事故死?自殺?殺人?キャンピオンがその人間関係を解き明かしていきます。。。
って書くとキャンピオン名探偵っぽいですが、なんかやはり探偵の恋愛が入っていると、「本格」ファン向けではないような気もする。どうも最後も「想定内」というか。重厚な雰囲気や書きっぷりは好きなんですが、事件自体や推理の部分は弱いんですよね。これは「霧の中の虎」でも感じたんだけど、推理小説として読んじゃだめで、推理小説風のドラマという感じですかね。。。うーん、微妙。特に今回のやり口は慣れているとすぐにわかっちゃうんで、結局キャンピオンだめだめじゃん!なんだけど、最後への盛り上げ方はうまいと思った。推理小説よりも展開やドラマ的なものを好きな人向きです。
原題が「Dancers in Mourning」です。クロエ嫌なやつなんでクロエに挽歌なんかなくてもよいですが、そういう意味では邦題もちとメロドラマ風。