●蓮丈那智フィールドファイル
全集に入ったペルーの作家のあれを読み始めたのだが、ほんの最初のほうですぐ他にぶれてしまいました。北森鴻さんの本は読んだことがない。 たまたま書店で「写楽」にひかれて買ってしまったらフィールドファイル3だったので1から買い直して読んだのであった。凶笑面―触身仏―写楽・考 を一気読みですが蓮丈那智さまには萌えませんでした。
設定はもちろん諸星大二郎へのオマージュでもあるわけだが、最初はけっこうおもしろかったんだけど、2巻辺りから飽きてきた。ちと登場人物がステレオタイプにすぎる気がするのと、民俗学的なアプローチも途中から謎が小さくなってしまった気がする。こういう民俗学とか歴史のミステリーでは二つ以上の謎が思いも寄らぬ形でつながって解決するのでないと、ちょっと物足りない。つまりひとつの設定であれば、それこそ可能性はいくつもあるわけで。
また、途中から「それはないやろう」と突っ込みいれるネタも増えてきたわけで。聖徳太子の話なんか、キリスト教が日本でほとんどない時代であれば帰依も何も意味がないのである。聖者伝説の必要があって、中国あたりのネタではばれるから聖書を基にしたのなら納得だけどね。それと途中から思考パターンになれっちゃったんだろうなあ。このジャンルは難しいね。
で、最後の待望の「写楽」まできたけど、私の望む種類の謎ではなかった。残念!