●愛しのグレンダ
「愛しのコルサタル」もとい、フリオ・コルサタルの短篇集である「愛しのグレンダ」が出ちゃいました、読んじゃいました。ああ、なんか幸せ。。。なんというか写実的な日常からツイ踏み外しちゃう瞬間がおもしろい、が後期の作品集だけにとっつきにくさも満点。味わうには全身敏感、コルサタル感度MAXの状態で読まないとおもしろくない。
また、解説にある自身の分類が面白かった。儀式、遊戯、移行、あちらとこちらというのはさすがにおもしろい。それに比べて評論家?のミステリーとか幻想とかは陳腐すぎてひいちゃいます。
というわけで久しぶりに文学的なものを読んだ気がする。これを機会に復活できるかどうか。。。でもまだPSPでの魔界戦記「ディスガイア」にはまっているんだよなあ。おわらないっす。
以下は勿論自分用のメモです。
- 猫の視線
見ている立場と見られる立場が一瞬でかわるところや、状況はまったく変わらないのに、そのことに「気づく」かどうかで一変してしまうところがおもしろい。
- 愛しのグレンダ
いやーん、怖いです。「海に投げ込まれた瓶」でその内幕は読んでいたのだが、まったく忘れているので、読み直さなくては。つぎに「海に投げ込まれた瓶」を読んだときにこちらをまるきり忘れていたら悲しすぎる。
- トリクイグモのいる話
最後の最後に気づくかどうか、感じるかどうか、ですね。このあたりが後期的でおもしろい。裸で井戸だって、怖いです。読んで妄想しまくるのが吉。
- ノートへの書付
これは後期にしてはわかりやすいので、どうだろうか。
- ふたつの切り抜き
切抜きを通しての客体化と実体験の壁の違和感がおもしろい。また、最初の引用がまた二度おいしい。。。
- 帰還のタンゴ
設定はそうではないがガウチョ物というか気性がでていておもしろい。最後の切迫感がいいね。
- クローン
ジェズアルドは知っていたしCDも持っているはずなんだけど、形式もそうかなと思っていたらバッハだったのでちょっと減点。みんな暗黙のうちにわかっていながら破滅に向かうあたりがおもしろい、というか形式的、というか遊戯的。
- グラフィティ
二人称での最後の一発に怖すぎる。妄想しちゃうよなあ。
- 自分に話す物語
これはまあ普通だと思った。。。というか展開がわかっちゃうので。
メビウスの輪
これは今まで読んだコルタサルのパターンにはない気がする。もちろん書き方の二重性はよくある手なんだけど。