●サウスランド・テイルズ
金曜の午後から土曜の午後で東京まで往復してきたのですが、名古屋あたりは雨が激しく、東京も夜は雷雨、怪しい天候であります。もう世界の週末・・・もとい終末が近づいているのかもしれない。 でも雨の世界はストルガツキーのみにくい白鳥を思い出す・・・けど、あれはきっと雷雨じゃないな。
で、 世界の終末といえば、「サウスランド・テイルズ」です。日本では公開されず、DVDで出ました。これは「ドニー・ダーコ」の監督であったリチャード・ケリーの作品なのですが、2006年のカンヌ映画祭での不評だったらしい。そりゃそうやろ。一般人には進めません。人生いたるところに陰謀あり、という人のみ購入可。
テキサスが核攻撃を受け、第三次世界大戦が勃発した後のアメリカでは、徴兵制が復活し各地で戦争を行っているのだが、アメリカ内も州ごとに分断され、そんな「サウスランド」でのお話である。特務機関「USIDネット」がすべてを監視し、ネオ・マルキストたちは暴動やテロを起こしているそんな中で、怪しいイラクの帰還兵、行方不明になり3日後に記憶をなくして現れた男、目的の見えないポルノ女優、双子の警察官、マッドサイエンティストが入り混じって世界は終末へと進んでいく。。。
で、小人も出てくるし、なんかこなれていないデビット・リンチの作品みたいな印象なんだけど、さすがにリンチと比べると映画としてのつくりはまだまだで、最初に見たときはほとんどの人が、???と頭の中に?マークを散乱させて終わると思います。で、一生懸命考えるとかもう一回みたい!と思わせるかというと、そのあたりの魅力が今ひとつ弱いンデスヨねえ。変人いっぱいといっても、リンチは普通のシーンと怪しい雰囲気とはやはりうまくつないで自然と迷宮の中に入っていく感じですが、こちらはもうストレートに迷宮なんでつらい。また、リンチの場合、各世界がなんらかの象徴によってつながっていることも多く、うまく背景世界になんらかのつながりがあるようにみせちゃうんだけど、ちょっとそういう小技がなさすぎ。。。マジックリアリズムは映画でも小説でも、そんなじらし技を入れてくれないと、読者が妄想できないんですよね。
あと、世界のつくりが単純にキリスト教的での終末観なのでちょっと単調かなあと。「トニー・ダーコ」は個人の世界観なのでうまくはまったんだけど、今回はつらい。まあそうはいってもちょっと面白いところも多いので、好きものは観てもよいかもしれない、が一般映画ファンは観てはいけない。。。シャラマンのようにはなってほしくないなあ。