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June 27, 2006

●絹靴下殺人事件

book-berkeley-06.jpgアントニー・バークリーの翻訳されたものとしては、私の読んでいない最後のものだ。これでシェリンガム君とも当面さよならかと思うと悲しいぞ。もっともフランシス・アイルズ名義のものはまったく読んでおらんが。で、「絹靴下殺人事件」は「ヴェインの謎」に続く作品なのだが、ま、できることならそちらから読んだほうがモーズビー警部との位置や関係などがわかってよろしい。

バークリーにしてはまともに推理小説しているので、一応単独で読んでもおもしろいし、シェリンガム君の位置づけも成立するのだが(他の本はことによる単独で読むとシェリンガムって何???この本は何???と疑問符だらけになるであろうから)、その分とっぱずれた、すなわち私がバークリーに望んでいる部分は少々薄いのであった。というわけで差し引き星3.5ということで。普通に楽しめます。

世の中にはシリアルキラーものというのがありまして、この作品もそれに入ります。いろいろあるけど私が知っていて好きなのは「ABC殺人事件」「九尾の猫」「ホッグ連続殺人」などかな。「僧正殺人事件」は・・・ちょっと違うか。事件の起こる範囲が狭すぎてもね。最近のサイコものでははいて捨てるほどありそうだけど、私は私流の「本格」の香りのするものでないと嫌だ。で、時期的には1920年代の作品なのでどれよりも早い、のでトリックであんまり評価下げるのはよくないだろう。後の作品にもいろいろ影響らしきものを感じるなあ。特に、・・・詳細に書けないのがつらいね。

今回はシェリンガム君はいつもよりは少しまじめに探偵しています。そうはいってもいつものタッチはタッチなので楽しんで読むことができた。まあさすがに犯人は途中からわかったんだけど、最後の罠はありだろうか?ちょっとそのあたりはこなれていない気がする。そういえば、この設定は、視点を変えると自身の「第二の銃声」にちょっと近い気もするな。もっとも「第二の銃声」はもっとひねりまくったかわいそうなシェリンガム君のオチなのだが。

晶文社のシリーズは本当にもったいないですな。みんな書評とか多いけど図書館とかで借りて自分では買わないのかな。

コメント

『絹靴下殺人事件』読み終わりましたー。
古典ミステリを愛読している割にバークリーはそんなに読んでいないんですよねー。『毒入りチョコレート事件』と『殺意』くらいです。
なおきさんは読破していらっしゃるようで……頭が下がります。
ところでアイルズ名義も面白いですよ。犯罪にいたる心の動きが丁寧に描写されていて、倒叙ものの名作です。

>シリアルキラー
日本だと横溝正史が割と多いですよね! 『悪魔の手毬唄』『犬神家の一族』……。
あと綾辻行人や島田荘司……まぁこの辺りは当たり前か(笑

どうも、バークリーはまずまず読んでいますが、アイルズ名義は読んでいないんですよね。。。そのうち読まなくては。バークリーでは「最上階の殺人」とか「試行錯誤」「ジャンピング・ジェニィ」といった冗談っぽいのが好きなので良い読者と言えるかどうか。。。

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