●歌う砂―グラント警部最後の事件
ジョゼフィン・テイというと「時の娘」をずいぶん昔に読んでもちろん面白かったんだけど、あんまりグラント警部に思い入れもなければ、文章や情景の描写にも気づかなかった。。。というのはほとんど病室の中のわけで。でも看護婦とかの人物の使い分けはうまかったような印象がある。で、論創社の「歌う砂―グラント警部最後の事件」を読んだらこれがおもしろくておもしろくてたまらん。もっともパズラーではなく、前半部分はもう事件的にはなんにもないままにグラント警部再生物語なんだけど、それがおもしろい。
乱歩が読みたがったということなんだけど、あんまりトリックや事件の不思議さで追っかける本ではないだけに、読んでそう思ったか知りたいなあ。というわけで星4つ(4.5でも良いけど推理小説としては物足りない人がいるかもしれないので)。