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July 18, 2009

●フランチャイズ事件

book-Tey-05.jpg久しぶりにジョセフィン・テイのものを読んだが、やはりテイはおもしろい。事件的にはけっこうありそうだし、グラント警部が活躍するわけでもないし、というか警部だめだめじゃん。展開もある意味ありきたり・・・でも、おもしろい。なんちゅうか中途半端な善人論、人類はみな兄弟、ではなく、性根の曲がったどうしようもないやつはいる、しかもたくさん、みたいなすっきりとした感じが好きだ。それは私的にはクリスティにも当てはまるわけだが。

書いたとおり、事件も展開もありきたりだし運なのなのだが、書き方なのかいったん引き込まれるとどんどん読めてしまいます(訳はもう古いのですが)。やはり人物が魅力的なのかな。シャープ夫人とかイギリスのがんこ婆さんという感じでおもしろいし、イギリスの出てくる生活の断面も良いですな。でも事件的には、新聞の報道に載せられて暴徒が現れるとか、結局今と何にも変わらない人間の精神構造が面白いね。また主人公のありきたりの日常からの逸脱していく気分がよいのだろう。

あんまり現代的な推理小説風味を追わずに、まったりと読むことをお奨めします。在庫はないみたいなのでリンクは貼らないけど、大きな書店だと流通在庫で見るときがあります。

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