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December 15, 2006

●ボートの三人男

book-Jerome-01.jpgうー、面白すぎる。今頃読むのもどうかと思ったが、ジェローム・K.ジェロームの「ボートの三人男」を読んだら、いやあおもしろいですなあ。もともとピーター ラヴゼイのクリッブ部長刑事&サッカレイ巡査ものを読もうかと思ったが、「絞首台までご一緒に」を入手したら、元ネタが「ボートの三人男」だったので、そろそろ読んどくべきかなあと。でもこっちのほうが気に入ったので、ピーター ラヴゼイのことは忘れました。

1898年というともはや一世紀以上前なんだけど、いや、なんかイギリス人っておもしろい。なんだかついこの前のお話と言われても信じちゃいそうです。昔からテムズ川下りみたいな休暇があるんですなあ。日本では川は短いのでさすがに似たような話は無理かなあ。話としてはイギリス版東海道五十三次みたいなもんかのう。で、ひねくれ具合とのどかな感じに星4.5。

のんびりとゆっくりとしたリズムで読むのが良い。だってボートで旅するなら景色を見なきゃ意味がないし、こんな小説を読むなら、一言一言ゆっくり味わっていくのがよいのです。拡散していく語り口が良い。まじめに話していながらいつの間にか全然違う方向へ拡散していく語りが、わき道をのぞいて歩く物語そのものなのだ。いやあいいねえ。笑いのテンポって個人に差がありそうだから他の人でもみんな楽しめるかはちょっと自身はありませんけど。

単なる笑いもあるけど、もともとテムズ川近辺の地誌の話にしてやろうということで、そいうところで話にふくらみがあってよい。そういうつくりはきっと東海道中五十三次とおんなじ仕組みなんだろうなあ。脱線につぐ脱線と、いつでも本筋に戻れる仕組みがよくできている。

また、イギリス風のちょっとひねくれていて、まじめなふうでいておふざけで、無駄なことをまじめにやる、それを尊敬しちゃうなあ。今年は「銀河ヒッチハイクガイド」も読んだけど、イネスも含めてマイ・イギリス・ブームかも。

コメント

お久しぶりです。
私も「ボートの三人男」大好きです!コニー・ウイリスの「犬は勘定に入れません」の元ネタということで読んだのですが、こっちの方が好きになりました。本を読んでかなり笑ったのは初めてかもです。

ごぶさたです。私はピーター・ラヴゼイの元ネタで読んだんですが、それで満足してラヴゼイ読んでない。。。

ぜひこういう本があったら教えてくださいね。

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