●青い蛇
買ったままつんであったトーマス・オーウェンの「青い蛇」を読んだ。トーマス・オーウェンはベルギーの作家だということだが、すみません、知りませんでした。副題に「十六の不気味な物語」とあるとおり、怪しげで、そう表紙にルドンの絵画が使われているがそんなような、ベルギーだからクノップフであるような、あるいはクェイ兄弟の作品の断面のような象徴主義的ともなんとも怪しげな短編集です。
同一作家の短編集だと16もあると同工異曲で最近は飽きちゃうことのほうが多いんですが、これはおもしろいです。なんつうか読者が一番不安定な状態にきたところでほったらかされるような未着地感がたまらん。割り切れる話でないと納得できない人は手を出さないでください。 また、puhipuhi師の解説もよかった。そうか四者のもつれあいであったか。幼い私にはとてもわからないものであった。
もともとの短編集は日本で「黒い玉」と分冊されているようですが、「黒い玉」も買わなくては、とも思うがもう少し具体的なものを集めているようなので、たぶん私の好みとしては「青い蛇」のほうかなとも思う。ま、読んでみなくてはわからんのだが。